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無花果少年と瓜売小僧35

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:  35 磯村くんはズーッと考えていました。木川田くんを残して一人でお風呂に入っている時も、木川田くんがお風呂に入って自分
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  35
 磯村くんはズーッと考えていました。木川田くんを残して一人でお風呂に入っている時も、木川田くんがお風呂に入って自分がパジャマに着替えて、布団の中で木川田くんが出て来るのを待っている時も。
磯村くんはズーッと、木川田くんがいても自分は我慢出来るだろうかって、それだけをズーッと考えていました。
他のことは分りません。なんだかすごいことがあってもそれは木川田くんのことで、そのすごいことと自分とは関係が全くないんだっていうことは、磯村くんには分っていました。関係がないその証拠には、磯村くんは木川田くんの言っていることが結局は、よく分らないでいたからです。
問題は、可哀想な木川田くんをどうするかということでした。
「そんな風になっちゃったらつらいだろうなァ」と思っていて、そんな風になっちゃった人がやって来たからです。
そこで�おしまい�になった筈のその後に何がやって来るのかというと、それは�余韻�です。�可哀想�という余韻を残して、木川田くんが立っていました。
磯村くんにはそう思えたんです。
「別に、出てかなかったけどな」と言った木川田くんが、そこで話を�おしまい�にしないで、「なんだか分んないけどその先一人でやってみよう、関係ないもん、関係ないって思わなかったらやってけないもん」ていう決意をしたことなど、磯村くんには分らなかったのです。
磯村くんは、その�余韻�だけを見つめていました。第一部が終って主役が死んじゃったんなら、第二部の主役は自分が代って引き受けなくちゃいけないんじゃないかと、磯村くんは思っていました。その自信が自分にあるのかどうかと——。
 磯村くんは、�余韻�というものがあんまり好きではありませんでした。
それは何故かというと、とらえどころがなかったからです。
とらえどころのないものをどうやって相手にしていいのか、磯村くんにはさっぱり分りませんでした。
そして、その余韻には何か余分な不純物があるような気がして、磯村くんは困りました。その余分な不純物というのは勿論、木川田くんの性的な傾向です。
「分る」と思ってはいたけれど決定的に違うそれを見て、やっぱり磯村くんは少し不安になりました。そして「この不安をどう処理すればいいんだろう」と、いつの間にか磯村くんは、そればっかりを考えるようになっていました。
 木川田くんがお風呂から出て来ました。
チェックのトランクスとシャツ姿です。「ふーっ」と言って、木川田くんは汗を拭いています。汗と髪の毛を。
「開ける?」
磯村くんは言いました。
「何を?」
木川田くんはキョトンとして訊きました。
「窓」
磯村くんは、みぞれが降る暗く寒い夜の外を思いました。
耳を澄ますと雨音がして、窓を開けたら畳が冷たい水でまた濡れてしまうことが、磯村くんには分ったのです。
「いいよ、寒いから」
木川田くんは言いました。
「うん」
そう言って磯村くんは木川田くんの脚を眺めていました。細くてゴリゴリしていて毛深くて。
どう見ても木川田くんは、自分とおんなじような男の子でした。
親とうまく行かなくて、親に捨てられた、自分とおんなじような男の子だと、磯村くんは思っていました。
そんな、自分とおんなじ境遇の男の子に、どうして少しでも性的な関心なんて持てたんだろうって、磯村くんは不思議に思って、木川田くんの白いTシャツ姿を眺めていました。
「磯村、ドライヤー貸して?」
「うん」
 ドライヤーの�ガーッ�という音の中で、磯村くんは、着替えを持って来なかった木川田くんのTシャツが相変らず真っ白に輝いていることを確めていました。
「磯村、もう寝る?」
木川田くんが言いました。
「うん」
磯村くんが言いました。
「もうちょっと詰めて」
木川田くんが言いました。
「うん」
磯村くんが言って、磯村くんは布団の中で体をちょっとずらしました。磯村くんはまだ木川田くんに、「ここにいてもいいよ」とは言っていなかったのです。
 木川田くんが布団の横に正座するみたいに坐って、掛布団のへりを持ち上げようとしました。
磯村くんは布団の中で半身を起してこう言いました——。
「木川田、僕のこと、好き?」
 木川田くんは磯村くんの目を見て——それはやっぱり�なんにも見てない目�でしたが——それから目を伏せて、「あんまり、好きじゃ、ない」と言いました。
 磯村くんは「うん」て言って、少しつらかったかもしれないけど、木川田くんが「ごめんね」って言ったもんだから「いいよ」って言いました。
 木川田くんが布団の中に入って来て木川田くんの脚が�コツン�て磯村くんの脚に当って、「あ、電気消さなくちゃ」と木川田くんは言いました。
「お風呂消して来た?」
磯村くんは言いました。
「あ、いけね!」
木川田くんは言って、お風呂場に飛びこんで行きました。
「こうだっけェ!」
お風呂場の中で木川田くんが叫びました。
お布団の中で上体だけを起こして「その、上についてるヤツ、右に回すの!」と磯村くんは言いました。
「分ったァ!」
そう言って、木川田くんはお風呂の火を消しました。
お風呂場の電気のスイッチを切って立っている木川田くんに、磯村くんはこう言いました。
「春までならサ、いてもいいよ」
「ホント?」
木川田くんは言いました。
「うん……」
磯村くんは言って、「多分、我慢出来るな」と思いました。
「磯村、好きッ!」
そう言って木川田くんが布団ごと抱きついて来た時、
「やっぱり、好きじゃないより好きな方がいいし……」って、磯村くんは思いました。
「もう一コ布団買わなきゃね」
木川田くんが言いました。
「うん」
そう言って磯村くんは布団にもぐりこみました。
「木川田、電気消してよ」
「うん」
でもそう言って横になった磯村くんは、それよりも少し前、暗い部屋の中で木川田くんのお母さんがこんなことを考えていたのだということなんかは、夢にだに知りはしませんでした——(そう言えばあんまり、磯村くんという人も夢を見なかった人なのかもしれませんけれども……)。
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