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無花果少年と瓜売小僧39

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:  39 磯村くんは、まるでこわいお化けと一緒に住んでいるような緊張感を味わっていました。そのこわいお化けは、磯村くんが少
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 磯村くんは、まるでこわいお化けと一緒に住んでいるような緊張感を味わっていました。そのこわいお化けは、磯村くんが少しでもスキを見せたら、すぐに取り殺しにやって来ます。磯村くんには、そんな風に思えました。
まるで、エライお坊さんに教えられて毎日毎日お経を唱えているように、磯村くんは、緊張の中で生きていました。
お化けの名は、�他人�と言います。
磯村くんは、さり気なくしていなければいけませんでした。
 自分の友達は�可哀想な人�なのです。どんなに明るく見せていても、でも、その内実はとってもせつないのです。明るさが哀しいような、そんな人なのです。
磯村くんは、そんな友達とどう付き合ったらいいのか分りませんでした。分ることは唯一つ、相手の�傷�の中に踏みこまないように、さり気なく構えて相手を見守っているということだけでした。
分ったからといって出来る訳でもないのが若さです。磯村くんは、一人で構えているしかありませんでした。
もしも相手が茶々を入れてくれれば、もしも相手が泣きついてくれれば、無理をして作っていた磯村くんの包容力が破綻《はたん》してしまうこともあったでしょう。悲鳴を上げて突き飛ばしてしまうことも出来たでしょう。でも、相手は、知らん顔をしていました。
磯村くんの思惑とは関係なく、木川田くんは別に�可哀想な人�でもなんでもなくなっていました。
可哀想なのは磯村くんです。ちっとも愛してくれない人を相手にして、「僕は彼女のことを愛してない、僕は愛してない」と呟《つぶや》いている熱烈な片思いのようでした。
 木川田くんがいない時、磯村くんは、フッと「木川田がいないな」と思う時がありました。
「いないな——でも何してるんだろう?」——磯村くんは、ちっとも落着くことが出来ませんでした。
木川田くんは、初めはまっ直ぐに帰って来ました。二人で御飯を食べて、二人でテレビを見て、ラチもないことを話していました。
木川田くんが帰って来ない間、磯村くんは、部屋に帰って来て試験の下準備をしていました。
まだ布団は一つしかありませんでしたけれども、二人は、朝起きて「このまんまじゃ風邪引いちゃうよなァ」と、自然に言い合えるようになっていました。
一宿一飯の義理を果たした木川田くんは、家にいる時みたいに熟睡をしたかったので、ホントにそういう風に自然に言いました。
でも、木川田くんのことを労《いたわ》っていた磯村くんは、そうは思っていてもそう口にしてはいけないんじゃないかと思っていて、木川田くんに「このまんまじゃ風邪引いちゃうよなァ」と言われて一瞬、「あ、そうだ。そういう考えだってあったんだ」ってポカンとして、「そうだよね」と、自然に言うのです。昨日だって木川田くんは、寝る前に「もう一コ布団買わなきゃね」と言っていたのに——。
 磯村くんの口は、自然に動かなくなって、自然に動く他人の口の後について行くことが自然なことなのだと、思うようになっていました。
アルバイトが休みの時に木川田くんの布団が運び込まれて、押し入れの中の半分が——そして半分以上が——木川田くんのニギヤカな衣裳類で一杯になって、「ここ寂しくない?」という木川田くんの意見で、壁にボーイ・ジョージとワムのポスターが貼られて、「こういうのがよくない?」って言われてHABITAの食器が食器棚に詰めこまれて、木川田くんがいなくても十分に木川田くんがいるという風に部屋が出来上って行った時、「あ、この方がいいね」と言ってしまった磯村くんは、その自分の言葉に押しのけられて、部屋の半分を失ってしまっていました。
「そろそろ試験勉強しなくちゃ」と磯村くんが言って、「ゴメン、俺テレビ見てていい?」と木川田くんが言って、音のしない光の明滅が磯村くんの視界の隅に入ると、「ひょっとして僕、彼のことを一人にしといていいのかな?」なんて磯村くんは思って、落着きませんでした。
 気がつくと、三ページめくった教科書の、一体何を読んでいたのか、磯村くんにはまったく分らなくなっていたのです。
一人でポリポリとおせんべいを食べている木川田くんが気になってそちらを見ると、「ごめん。気になった?」と木川田くんが振り向きます。
「僕にもくんない?」
咄嗟《とつさ》に磯村くんは、おせんべいが食べたくなるのです。
「あ、ごめん、お茶淹《い》れて上げるね」
 磯村くんが勉強をしている時の木川田くんは、信じられないくらいやさしい心遣いをしてくれます。
「ああ、こんなに他人に神経使ってたら、折角の木川田の好意が全部無駄になっちゃうな」と、改めて教科書に集中する磯村くんは、実は木川田くんが、�心のやさしい子�であると同時に、好きでもない相手にはなんの関心も示さない人間であるということが分らないのです。
磯村くんは、一人で追いつめられていました。
「ごめん。磯村、俺がいると勉強出来ないから出かけて来る」
そんな磯村くんの気配を察してか、夕方の六時過ぎに木川田くんが出かけて行ってしまうこともありました。帰りは十一時過ぎです。
帰って来て、「こんな田舎だからアレだと思ってたけど、終電って十二時まであるのな」なんてことを木川田くんが言うと、「どこ行ってたの?」と言ってその瞬間、覚えていたことをみんな忘れてしまう磯村くんです。
 磯村くんは、自分が落着かないでいることがよく分りませんでした。「他人がいるって緊張するんだな」って思いましたが、「でも、木川田のこと�他人�て思っちゃ悪いかな」と思って、心のもう一段下のところで緊張をしました。
でも、そんな磯村くんだって、初めの内は楽しくって楽しくってしようがなかったんです——。
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