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無花果少年と瓜売小僧40

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:  40 木川田くんが転がりこんで来た次の日の朝、磯村くんは大学へ行きました。木川田くんと高幡不動の駅で別れて多摩動物公園
(单词翻译:双击或拖选)
 
  40
 木川田くんが転がりこんで来た次の日の朝、磯村くんは大学へ行きました。木川田くんと高幡不動の駅で別れて多摩動物公園行きの電車に乗りこんだ時、磯村くんは、大勢の見知らぬ同級生に囲まれて幸福でした。ルンルン気分で、「僕なんか青春してるんだもんね」と言い出したいような気分でした。
 一月の山の上は寒いのに、でも磯村くんは、あんまり寒いとは思いませんでした。講義が終って、エジプトの大神殿を思わせる校舎群を抜けて、エジプトの大神殿の付属の用務員詰所みたいな鉄筋の�サークル棟�の階段を上って行く時なんか、自分は誰よりも軽薄に軽快な大学生をやってるという自信で、磯村くんは満ち溢れていました。
大体文化系のサークルというのは、�暗い�ところを除いては年に一、二回のお祭《イベント》をやって、あとはその余熱で生きているようなものなのですが、磯村くんのいたクラブでもやっぱりそうでした。
オリエンテーションの時のバカ騒ぎで、「ああ、おんなじバカ騒ぎやるんだったら、仕掛けられる側より仕掛ける側に入った方がいい。どうせどっちもおんなじなんだもん」と思ってそこに入った磯村くんは、肝腎のガク祭の時には木川田くんとなんだか分らないインインメツメツをやってたもんだから「なんかバカらしい」としか思えませんでしたが、今や、「それでいいんだ!」と思っていました。
�それ�とは勿論、�一般的なバカ学生をやっていてもいいんだ�ということです。
なんとなく磯村くんは、そのバカらしさに関してなら全学に君臨出来るような自信さえ、その日は持っていました。
いましたけど、別にどうっていうことはありませんでした。広告研究会の部室には�竜崎頌子ちゃん�が来ていなかったからです。
「なんだァ ハハン」と思って、磯村くんは煙草を咥《くわ》えました。そばにいた一年生がマイルドセブンの箱を、如何にも手馴れたように——しかしその実は貧乏ったらしく、トントンと叩いていたからです。
「一本ちょうだい」
磯村くんは珍しく——というかほとんど生まれて初めて、そんなことを言いました。
「フン、フン」
煙をくゆらせて見る八王子の山並は格別のように思えました。
「これかァ……」
磯村くんは思いました。別になんにもすることがなくても、雑然としたコンクリートの部屋の中で煙草をくゆらせて外を見ていると、なんだか自分が大した人間のように思えて来るのです。
「その為に自然てあるんだ。大学もよく考えてるなァ」
サークル棟の二階の窓から、多摩ニュータウンの方まで続く雄大な景色を眺めて、磯村くんはそう思いました。
 でも、大学を出て駅で降りて、駅前の道を左にとって京王線の下を通る高幡不動の地下道に向かいだす頃、そんな磯村くんの元気も、少しはなくなって来ていました。
アパートの部屋のドアを開けた時、そしてそれをガチャリと閉めた時、磯村くんは「ふ……」「あーあ」と、二度ため息をつきました。それが何故だか、磯村くんには分りませんでしたが。
 次の日に大学から帰って来た磯村くんは、駅を降りるとそのまま部屋には戻らず、なんとなく、駅前の喫茶店に寄りました。ビルの二階の、駅前の通りを見下すところです。
 コーヒーを注文して、期末試験の時間割りを整理していると、磯村くんは、女の子から声をかけられました。
そのお店で働いているウエートレスの、太った子です。色は黒い方で、名前はまだ知りません。顔だって、ひょっとすればまだ覚えていないような土着っぽい女の子でした。
「ずい分来なかったじゃない?」
その女の子は言いました。あんまり頭はよさそうじゃないけど、愛想がよくてニギヤカそうな感じの子でした。
その子がニカニカ笑っているので、磯村くんは「うん」と言いました。顔はその子の方を向いていましたが、シャーペンを持った手はテーブルのノートの上でした。
その子はクチャクチャとガムを噛んでいます。
「こっちに住んでんのォ?」
その子は言いました。
「うん」
磯村くんは言いました。
「あんたチューダァイ?」
その子は言いました。
お店の中は暇そうで、お喋りをしている主婦のグループとお喋りをしている主婦の二人連れがポツンポツンといるだけでした。
「うん」
磯村くんは言いました。
「そうォお」
その子は言いました。
その子の同僚の子がコーヒーを持ってやって来ました。
「コーヒーお待たせしました」
新しく来たやせた方の女の子がそう言いました。
「ヘェ、コーヒー飲むのォ?」
その太った方の子が言いました。
「ウン」
磯村くんが言いました。
「�カナちゃん�、知ってんのォ?」
やせた方の女の子が太った方の女の子に言いました。
「知ってるよ。いつも紅茶ばっかりだもん」
�カナちゃん�が言いました。
「�いつも�って、僕、そんなに来ないでしょ?」
磯村くんが言いました。
「三回ぐらいだね」
�カナちゃん�がガムをクチャクチャさせながら言いました。
「ヘーッ、僕の来たこと知ってんだァ?」って、磯村くんは思いました。
「すいませェん、ちょっと、すいませェん」
窓際の奥の席で若い主婦の四人連れが呼びました。
「�マイちゃん�」
�カナちゃん�がやせた方の女の子を呼んで、�マイちゃん�と呼ばれた方の女の子は立って行きました。�カナちゃん�の方は悠然として、磯村くんの向いの席の背凭《せもた》れに肘をついてクチャクチャとやっています。
「坐る?」
磯村くんは言いました。
「ううん。仕事中だもん」
�カナちゃん�が言いました。
「ねェ、あんた一人で住んでんの?」
�カナちゃん�がまた言いました。
「うん。だけど今、友達と住んでんだ」
磯村くんが言いました。
「フーン。友達って男ォ?」
「うん」
�カナちゃん�が言って磯村くんが言って、�カナちゃん�は「ヤーらしい」と言いました。
「いいじゃない。別に肉体関係ないんだから」
磯村くんが言いました。
�カナちゃん�は�ニカーッ�と笑って、「ねェ、あんたガールフレンドいるゥ」と言いました。
「いないよ」
磯村くんが言ったら�カナちゃん�は「ウッソォーッ!」と言いました。
�カナちゃん�というのは不思議な女の子で、インディアンの女酋長と牧場の牝牛を一緒にしたみたいな女の子でした。
「どうして?」
磯村くんが言いました。
「だァッてェ、その顔でいない訳ないじゃん」
「そう見える?」
磯村くんは真面目な顔で答えました。勿論、真面目な顔と真面目な答は違いますけども。
�カナちゃん�は「あ、いるんだァ」と言って可愛い顔を見せて笑いましたがその時二人の子供を連れたお母さんが「ほら、こっちよ、こっちいらっしゃい」と言って入って来たので、そっちへ行ってしまいました。
それだけですが、レジで�カナちゃん�にお金を払って「またね」と言われて「ウン」と言った磯村くんは、一階へ降りる階段のところで肩の力を抜きました。
 ふうっ。
 そのまんま磯村くんは、ニコニコしてアパートに帰って来ました。
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