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無花果少年と瓜売小僧42

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:  42 磯村くんが初めて自主的に童貞を捨てた時のことです。 試験が終って磯村くんは、ブラブラと高幡不動の駅前を歩いていま
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  42
 磯村くんが初めて自主的に童貞を捨てた時のことです。
 試験が終って磯村くんは、ブラブラと高幡不動の駅前を歩いていました。生えかけた恥毛のようにぼんやりと漂っている性欲をまぎらわせてくれる竜崎頌子ちゃんとは会えなかったので、昼間っからアホみたいなヤローとブラついてもしょうがないと思った磯村くんは、「どうするの?」というクラスメートの声に「うん、家帰って洗濯でもするゥ」とか言って、高幡不動の駅で降りました。
これはホントのことで、バイトの退職金がわりに木川田くんが電気屋さんから貰って来た洗濯機が部屋にはあったので、こんな天気のいい日はサッサと洗濯しちゃった方がいいなと、磯村くんは思っていたのです。妄想がダメなら、現実もあったんです。冬には珍しく、生温いというような感じの、あったかい日でした。
「どうしようかなァ……、まっすぐ帰って洗濯しようかなァ……」とか磯村くんが思って地下道の辺りまで来ると�向う�から加奈恵ちゃんがやって来ました。
「どうしたのォ?」
加奈恵ちゃんが言いました。今日はピンクの喫茶店の制服ではなくて、チンチクリンでピチピチのGパンと、真ッ赤なスタジャンの私服です。
「うん。今日で試験が終ったんだ」
「ホントォ」
磯村くんは、木川田くんから借りたビギの白いブルゾンを着ています。
「どこ行くのォ」
磯村くんが言いました。
「うん、今日休みだからサァ、新宿でも行こうかなァと思ってェ」
「ホントォ」
磯村くんが言って加奈恵ちゃんが言いました。
「ねェ、あんた何してんのォ」
磯村くんが言いました。
「うん。家帰って洗濯でもしようかなァと思ってェ」
「フーン」
「暇なのォ?」
磯村くんが言いました。
「暇だよォ」
加奈恵ちゃんが言いました。
「ウチ来るゥ?」
磯村くんが言いました。
「ウーン」
加奈恵ちゃんが言いました。
「どこなのォ」
「うんとねェ、ガード越えてねェ、潤徳小学校の裏ァ」
「あ、ホントォ」
「分るゥ?」
「うん。あそこら辺。団地の辺でしょォ」
「あ、そう。君家どこなのォ?」
「�つくしんぼ保育園�のそば」
「どこなの、それ?」
磯村くんが訊きました。
「お不動様の先ィ」
「あ、ホントォ、じゃァウチとは逆なんだァ」
「そうだよォ」
加奈恵ちゃんは言いました。
「ウチ行ってもいいのォ?」
「いいよォ」
磯村くんは言いました。
「友達いないのォ?」
加奈恵ちゃんは訊きました。
「いないと思うよォ」
そう言って磯村くんはまた言いました。
「あれ、なんで知ってんのォ?」
「自分で言ったじゃなァい」
加奈恵ちゃんは�ドン�と磯村くんのことを突き飛ばしました。
「あ、そっかァ」
磯村くんは頭をかきました。
「じゃ、行こう」
加奈恵ちゃんは磯村くんに腕を差し出しました。
「うん」
磯村くんは加奈恵ちゃんと腕を組んで歩き出しました。ひょっとすると、加奈恵ちゃんの方が磯村くんよりは、ちょっとばかし背が高いのかもしれません。
 地下道を越えたら、磯村くんは、加奈恵ちゃんが十八で�カナエ�という名前なんだということを知っていました。
柿の木のあるとこから電車区のある建物の見えるところまで来ると、カナエちゃんは、磯村くんが�イソムラ�っていう名前で、その下は�カオルくん�で、四月になったら二十歳になる十九歳の牡牛座で、中大の法学部なんだっていうことを知りました。両親は杉並にいて一人で下宿してるとか。
カナエちゃんは天秤座で、天秤座と牡牛座の相性は、よく分りませんでした。カナエちゃんは「あ、相性がいいんだァ」っていう方面しか知りませんでしたから、よくない方向にちょっとでも傾くと、たちまち分らなくなるのです。
 アパートの手前まで来ると、畑の向うの垣根越しに木川田くんの洗濯物が干してあるのが見えました。その向うのガラス戸は白っぽく光っていて、カーテンが閉っているのが分りました。
「やっぱりいないや」
磯村くんが言いました。
「あ、ホント」
カナエちゃんが言いました。
「洗濯モン、干してあるもん」
「どォれ?」
カナエちゃんは言いました。
「あれェ」
磯村くんは自分の部屋の方を指しました。
「ふーん」
カナエちゃんは言いました。
「ねェ、あんたの友達ってどんな人ォ」
磯村くんは言いました。
「変ってる」
「ふーん」
カナエちゃんは言いました。
「ねェ、なんで一緒に住んでんのォ」
磯村くんは言いました。
「親と喧嘩したんだって」
カナエちゃんは言いました。
「あ、ホントォ」
磯村くんは言いました。
「こっちだよ」
カナエちゃんは言いました。
「うん」
 部屋の中に入るとカーテンが閉っていてほの暗かったのですが、珍しく出かける前の木川田くんはテキパキしていたらしく、脱ぎ捨てのシャツとTシャツが隅っこに落っこっているだけで、後はキチンと片付いていました。
「入んなよ」と言って、磯村くんはシャーッとカーテンを開けました。
カナエちゃんが入って来る前に、磯村くんは木川田くんのチェックのシャツと白いTシャツを抓《つま》み上げて、「あいつ、これどうすんのかな?」と思って、ちょっと匂いを嗅ぎました。なんか、甘くって、ちょっと独特の匂いがしました。
「なんか、男臭ァい」とカナエちゃんが言いました。
「そうォ?」と言って磯村くんは、窓を開けて、その外に置いてある洗濯機の中に、木川田くんのシャツとTシャツをブチこんでしまいました。
カナエちゃんは部屋の隅に置いてある座布団に腰を下して、部屋の中を見ていました。
「ずい分勉強してんだね」
カナエちゃんは言いました。
「どうして?」
磯村くんは言いました。
「だって、本が一杯あるじゃない」
「そうかな」
磯村くんはストーブを点《つ》けます。
「お茶|淹《い》れるね」
磯村くんは言います。
「灰皿ちょうだい」
カナエちゃんは言います。
「うん」と言って磯村くんは、「えーっと」と辺りを見回して、木川田くんが流しに置きっ放しにしてある、裸の女の人のついた赤いブリキの灰皿を発見します。
灰皿を洗ってお茶を淹れて、磯村くんは大忙しです。
「ねェ、やる?」
お茶を飲み終ったらカナエちゃんがいいました。
「いいの?」
磯村くんは言いました。
「いいよ」
カナエちゃんは言いました。
「大丈夫?」
磯村くんは訊きました。
「何が?」
カナエちゃんは言いました。
「アッチ」
磯村くんは言いました。磯村くんの部屋には、残念ながらコンドームがなかったのです。
「平気だよ」
カナエちゃんは言いました。
「昨日終ったばっかりだから」
「あ、ホント」
磯村くんは言いました。
「よかったね」
「うん」
そう言ってカナエちゃんは、赤い口紅のついた煙草を灰皿で消すと、「ヨイショ」と言って、Gパンのチャックを降ろし始めました。降ろし始めましたが、カナエちゃんは太っているので、そのまんまではチャックが降りません。チャックは降りたとしても、ピチピチのGパンは、坐ったまんまでは脱げません。しようがないからカナエちゃんは、立ち上ってGパンを脱ぎました。
赤いスタジャンを肩から引っかけた下は白いブラウスだけで、ブラウスの裾からはムチムチと太った太腿がチラチラと見えて、あまりにも喰い込みすぎた白いレースのスキャンティが透けて、黒く見えました。
磯村くんはカナエちゃんが立ってGパンを脱いでいる間、ちょっと立ち上りかけて「まァいいや」と思ってしまったのでそのまんまになりかけて、正座した中腰の膝に両手を当てて待っているという、�おあずけ�みたいな姿勢でした。
「いいよ」と言って、カナエちゃんは元の通りに坐って——坐りにくいから、二枚重ねてあった座布団の一枚はポンと蹴飛ばして——磯村くんの来るのを待ちました。
磯村くんは「ウン」と言って、そのまんまのカッコウでカナエちゃんの方に近づきました。カナエちゃんが開いている脚の間に坐って、オッパイを揉みました。
「ちょっときつい」
カナエちゃんがそう言って、スキャンティをずらしたので、磯村くんもそこでズボンを降ろしました。
 結局磯村くんは、坐ったまんまでやってしまいました。
 カナエちゃんとはあんまりキスがしたくなくて、肩やおっぱいを掴《つか》んでやっていると、どうやらカナエちゃんはオッパイを掴まれるよりも突っつかれているだけの方が感じるみたいなので、結局肩を掴まえていたらそうなってしまったという訳なのです。
初めは磯村くんがカナエちゃんの脚の上に乗ったのですが、カナエちゃんは「痛い」というもので、改めて磯村くんの脚の上にカナエちゃんが股を開いて乗ったのです。磯村くんは本気でビニ本とやってるみたいで、本気で感じてしまいました。
本気で感じると、磯村くんはなんとなく肩を揉みたいとか首をしめたいとか、そんな感じで指先に力が入って来て、でもカナエちゃんの髪の毛は細くて長いものだからそれが邪魔くさくって困りました。
「今度は横にしてやってみたいな」と思っていたら終っちゃって、カナエちゃんは「あんたってタフねェ」と磯村くんに言いました。
磯村くんは「そうォ?」と言いましたが、まだ磯村くんはホントにやったという実感がないので、「もう一遍横にしてやってみて、それでタフかどうかって決めない?」って思っていました。
礼儀正しい磯村くんは、もうズボンを元の通りに戻していましたが、ホンポーなカナエちゃんは、そのまんまで、磯村くんの脚の上から降りて、腹這いになって煙草を吸っていました。
磯村くんはそのカナエちゃんのモビイ・ディックみたいなお尻を見ていると、「横向きになって横からやるのも悪くないけど、後向きも悪くないな」っていう気になりました。「でもカナエちゃんの場合、もっとズッと脚開いてくんないとやりにくいしなァ」とか思って、「脚開いてくれるかなァ」と思っているとカナエちゃんが、「あれェ、もう二時半じゃなァい」と言いました。
 磯村くんの机の上の時計は二時二十七分でした。
「なんか約束あるの?」
磯村くんが言うとカナエちゃんは「うん」と言って、「また来るね」と言って出て行きました。
磯村くんは「うん」と言いましたが、カナエちゃんがスキャンティ穿いてGパン穿いているその間に、「もう一遍、指だけでも突っこませてくれないかなァ」とか、そんなことを考えていました。
 カナエちゃんが出て行った後に一人でゴロゴロしていると、部屋のカーテンが開けっ放しになっていることに気がつきました。庭に面したガラス戸は、上半分が透明なのですが下半分はスリガラスなので、「多分大丈夫だろうな」と磯村くんは思いました。「それで僕は坐ってやったのかな? だとしたら僕ってエライな」、と磯村くんが思っていたら、ドアを開けてブカブカのオーバーを着た木川田くんが帰って来ました。
「帰って来てたの?」
木川田くんが言いました。
「うん」
磯村くんが言いました。
「洗濯モン、まだしまわなくて大丈夫でしょ?」
磯村くんは言いました。
「うん、平気だろ」
木川田くんが答えました。
「あ、そこに脱いであったシャツさァ、洗濯機の中入れちゃったけどいいィ?」
磯村くんが言いました。
「うん、いいよ。サンキュー」
木川田くんが言いました。
「誰か来てたの?」
流しの横に、洗ってあるカップが二つ置いてあったので木川田くんはそう言ったのです。
「うん、大学のヤツ」
「あ、ホント」
「どこ行ってたの?」
「バイト決めて来た」
「あ、ホント。今度どこ?」
磯村くんは相変らず寝っ転がったまんま尋ねました。
「下北沢《シモキタ》の飲み屋。喫茶店だけどサ」
木川田くんはオーバー姿のまんま、磯村くんの横に腰を下しました。両膝を立てて腰を落す、例の�ウンコ坐り�です。
「どっか行こうかァ?」
磯村くんは言いました。
「試験終ったの?」
木川田くんは言いました。
「うん、終った」
磯村くんはニッコリ笑って答えました。
「よかったね」
木川田くんは言いました。言って木川田くんは、なんとなく磯村くんにキスしてもいいんじゃないかっていう気になりました。なんか、磯村くんがそんな風にしているような気がしたからです。
木川田くんがちょっと首を傾けると、すぐ磯村くんの手が伸びて来ました。
木川田くんのドデカイオーバーを着た肩を抱きながら、なんとなく磯村くんは、カナエちゃんの時の延長のような気がしてなりませんでした。
 顔を離して木川田くんが言いました。
「久し振りだね」
「そうだね」
磯村くんが言いました。
「どこ行きたい?」
磯村くんが言いました。
「大学行きたい」
木川田くんが言いました。
「今からァ?」
磯村くんが言いました。
「うん」
木川田くんが言いました。
「だって、今帰って来たばっかりなんだよォ」
磯村くんが言いました。
「いや?」
木川田くんが訊きました。
「いやじゃないけど、別に、今じゃなくたっていいじゃない」
「いいけどサ、俺、磯村のガッコウって、ちゃんと見たことないんだもん」
「だって、去年受けたんだろ、自分だって」
磯村くんが言いました。
「だって、そんなの覚えてないもん」
木川田くんは、相変らず磯村くんの横でうずくまっています。磯村くんに引き寄せられてウンコ坐りが崩れてしまった木川田くんは、ドデカイオーバーの中で横坐りをしていたら、なんとなくうずくまっているように見えたのです。
「だったらいいよ」
磯村くんは言いました。
「行こう」
「ヤじゃない?」
木川田くんは言いました。
「全然」
磯村くんは言いました。
「ねェサァ、帰りに動物園行かない?」
木川田くんは言いました。
「動物園?」
磯村くんは訊きました。
「うん。コアラ見ちゃったァ?」
日本にただ一ヵ所、多摩動物公園にだけ、オーストラリア産のコアラはいたのです。だから木川田くんは言ったのです。だから京王線には、コアラの電車が走っているのです。
「もう見ちゃったよォ」
磯村くんは言いました。
「どうして?」
木川田くんは言いました。
「だって、学校が休講になったら、コアラぐらいしか見るもんがないんだもん」
「そっかァ」
磯村くんの言うことに、木川田くんは素直に答えました。
木川田くんは、セックスっていうのは男と男でしかしないもんだと思っていたので、磯村くんが自分の留守中になんかやってたんだなんてことには全然気がつかなかったのです。
テキパキした磯村くんは、サッサと口紅の付いた吸い殻をティッシュと一緒にゴミ箱に捨ててしまいましたし、口紅の付いたティーカップはさっさと洗ってしまっていました。
 メンドくさがりやの木川田くんは、畳に髪の毛が落ちていても気にせず、寝っ転がっている磯村くんの頭を突っついていました。
「行くなら行こう。日が暮れちゃうよ」
磯村くんが言って立ち上りました。
「うん」
木川田くんが言って、畳の上の髪の毛がずい分細くて長いなァ、とか思いました。
ブルゾンを着た磯村くんが�シャーッ�とカーテンを閉めて、「洗濯物どうする?」と木川田くんに訊きました。
「後でいいよ、まだ乾いてないと思うもん」
木川田くんはそう言って、磯村くんのでも木川田くんのでもない髪の毛を抓《つま》みました。
「木川田、ストーブ消して」
「うん」
磯村くんに言われてストーブを消して、それからゴミ箱の中に髪の毛を�ポイ�と入れて——でも静電気を起こした髪の毛はなかなか�ポイ�とは行かなくて、「何してんのォ」と、戸口に立った磯村くんは言いました。
「今行く」
木川田くんは髪の毛をからめたまんま部屋を出ました。出て、ドアのところに指をなすりつけて、その髪の毛を指からとりました。
「木川田、鍵かけてね」
アパートの前でそう言っている磯村くんを見て、木川田くんは「チェッ、黙って男女交際なんてやっちゃってェ」なんてことを思いました。思いましたが、木川田くんの思っている男女交際とは、お茶を飲んでラジオを聞いてお話をしていることだけでした。
二人が出て行ったのは二時五十二分で、それが磯村くんの�初めての体験�だったという訳なのです。
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