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無花果少年と瓜売小僧45

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:  45 勿論その前に滝上くんと西窪くんがお店の中でこんな話をしていたなんてことは、木川田くんは知りません。「なんか結局、
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  45
 勿論その前に滝上くんと西窪くんがお店の中でこんな話をしていたなんてことは、木川田くんは知りません。
「なんか結局、退屈だな」
西窪くんは言いました。
「そうな」
滝上くんも言いました。
何か、少し危険なアヴァンチュールで、そして同時に、あんまりさし障りのないことが起ったら面白いなァと思ってそのお店にいた二人には、ちっとも面白いことが起こりませんでした。
滝上くんも、ちょっとはお店の人に気に入られたみたいですけど、平気でまた関係のない人——西窪くんのことです——を連れて来てタダ酒にありつこうという根性を見透かされて、あんまり歓待してもらえませんでした。色と欲とをはかりにかけて、あんまり期待出来そうもない�色�の方に望みを托すほど商売人はバカじゃありません。
という訳で、滝上くんと西窪くんが手持無沙汰になっていると、木川田くんがやって来ました。
という訳で、「あれ、木川田じゃないの?」と西窪くんは言いました。
「どれ? ホントだ」と、滝上くんも言いました。
「こんなとこに来てんのか」
西窪くんが言いました。
「あいつも可哀想なヤツなんだよな」
滝上くんはそう言いました。
「結局な」
西窪くんも言いました。
「ま、結局こんなとこ来たって何がある訳でもない訳だしサ」
そんなことを西窪くんが言うので滝上くんも「まァな」と言いました。
「あれからお前、あいつと会ってんの?」
「だァれ?」
西窪くんの問いに滝上くんが答えると、西窪くんは顎で前の方を指して、「あいつ」と言いました。その�あいつ�とは勿論木川田くんのことです。
「全然」
そう言ったのは滝上くんです。
「その内、気がついたら、あいつもこっち来るんじゃないの」
西窪くんが言いました。
「来るかなァ」
滝上くんは言いました。
「サァな」
西窪くんは言いました。
「来たら声でもかけてやれば」
そう言う西窪くんの声に滝上くんは「ふん」と言いました。これは勿論鼻の先で嗤《わら》ったのではなく、大人っぽく「うん」と言っただけです。
「あいつも可哀想なヤツなんだろうなァ」
滝上くんがまた言いました。
「ふん」
西窪くんがこう言ってまた言いました。
「来《こ》ねェみてェな」
「うん」
「そろそろ行くか」
「ああ」
 そう言って、西窪くんと滝上くんは出て行ったのです。ポンポンと木川田くんの肩を叩いて。
お店を出ると木川田くんが追っかけて来るのが分りました。
「おい、来るぜ」
西窪くんが言いました。
「ああ」
滝上くんも分っていたようです。
「どうすんの?」
西窪くんが滝上くんに訊きました。
「どうするかなァ」
滝上くんが言いました。
「付き合ってやれば」
西窪くんが言いました。少し笑ったかもしれません。
「お前はどうすんの?」
滝上くんは言いました。
「俺、もう帰るよ。帰ってバイトでも探すわ」
「そうか」
滝上くんは言いました。
「お前どうすんだよ」
西窪くんが言った時、木川田くんの息づかいが聞こえるようでした。
「ちょっとぐらいならな」
滝上くんが言って、西窪くんが「そうか」と言った時、足音が止ったのです。
だから木川田くんが「あの……」と言った時、滝上くんは「じゃァな」と言って、西窪くんは「ああ……」と言ったのです。
親切というのは残酷なものですね。
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