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無花果少年と瓜売小僧75

时间: 2020-01-31    进入日语论坛
核心提示:  75 磯村くんが、大学から五分とかからない、待ち時間を入れたら歩く方が早い、乗る奴がバカだと言われるような、多摩動物公
(单词翻译:双击或拖选)
 
  75
 磯村くんが、大学から五分とかからない、待ち時間を入れたら歩く方が早い、乗る奴がバカだと言われるような、多摩動物公園駅までの短いバス区間の間に�マゾのおじさん�の何を考えていたのかというと、あんまり大したことではありませんでした。
ほとんどなんにも考えていなかったに等しいぐらい、やっぱり磯村くんは大したことを考えていませんでした。
ポカポカと眠くなるようなバスのシートの中で、磯村くんは、「マゾのおじさんのことはどう考えればいいんだろう?」と、ただそれだけを考えていたのです。
「結局俺は、マゾのおじさんなんて、こわくもないもんなァ……」
 コアラのいる多摩動物公園の前でバスを降りて、京王線の線路と平行して走っている白い道路をテクテクと歩きながら、磯村くんはそう思っていました。
 京王線の線路と磯村くんの歩いている真っ白な道路とは平行になっていますが、でも八王子の山の緑はその間にふっさりとしたカーテンのようにかぶさって、磯村くんを一人ぼっちにしてくれました。同級生達の笑っているかもしれない明るい表情はもう見えないし、同級生達のどんよりしているかもしれないうっとうしい表情ももう見えませんでした。どっちにしろ見えないということはどっちだか考えなくてもすむということで、磯村くんは楽でした。磯村くんの頭の中は、まるで緑の山の中を走る真っ白いバイパスのように、きれいさっぱりとなんにもなかったのです。
 磯村くんは考えていました。「あの、オシッコ飲んじゃうマゾのおじさんなんか、俺、ちっともこわくなかったしなァ」って。
�僕�が�俺�になっちゃうぐらい、磯村くんの頭の中はつっぱっていました。頭の中はつっぱってなかったのかもしれないけど、やっぱり若い二十歳の青年の身体は新緑の中でのびのびとつっぱっていたので、磯村くんの空っぽの頭も強気になれていたのです。
健康というのは、そういうことなんですね。
 磯村くんは、「木川田がこわかったとすると」って、もう一遍考えていました。「それはいつからだろう?」って。
そしたら�マゾのおじさん�のことが頭に浮かんで来ました。「なんかヤだなって思ったことだけは確かなんだけどな」って、磯村くんは思いました。
でもよく考えたら、磯村くんにはマゾのおじさんがちっともこわくなかったんです。「ヤだけどこわくない」と思って、「じゃァ、なんでヤなんだろう」と磯村くんは思いました。
磯村くんは、マゾのおじさんが「もっとやさしくして」と言ったことが、いやだったんです。
 磯村くんは、多分タイル張りのどっかの浴室みたいなところを考えていました。キラキラ光る山の緑と見たことのないおじさんの変態性欲なんていうのはヘンな取り合わせでしたが、頭の中と頭の外というのはそんなもんなのでした。
 ベタベタ光る蜂蜜みたいなものを体中に浴びて、気持悪いものが「やさしくして」なんて言っているところを考えると、磯村くんの頭は暗くなりました。「やさしくしてもらいたいのは僕なのに!」って、磯村くんは思いました。
「やさしくしてもらいたいのは僕なのに、なんで僕がそんなヤツにやさしくしてやんなきゃなんないんだよッ!」って、磯村くんは思いました。気持悪いことがあるとすればそれで、ヤなことがあるとすればそれでした。
「やさしくなんてしてやる必要のないヤツが勝手に�やさしくして�なんて言って、それが一番気持悪い!」って磯村くんは思いました。
思いましたけどでも、それはなかなか木川田くんとは結びつきませんでした。
木川田くんがこわかったにしても、別に木川田くんは磯村くんに「やさしくして」って言った訳でもなくて、磯村くんに「おしっこかけて」って言った訳でもないんです。
でも、磯村くんはそう思って、「木川田がそう言ったらこわいかもしれないな」って思いました。
「木川田がそう言ったら、こわかったかもしれないな」
「木川田がそう言うからこわいのかもしれないな」
「木川田がそう言いそうでこわかったのかもしれないな」
「木川田がそう言ったらこわいって思ってたのかもしれないな……」
似たようなことを一杯考えて、なんだか考えがまとまらなくて、ようやく磯村くんは答を見つけたみたいでした。
「木川田がそう言ったらこわいって思ってたのかもしれないな」って。
「そんなこと言いそうだったのかな、あいつ」と思って、磯村くんは、考えるのをやめました。なんだかそんなことを考えるのは辛くって、そんなことを考えたら木川田くんが可哀想だと思って。
 磯村くんは、「ずーっと木川田のことをこわいと思ってたんだなァ……」って、今初めてした発見みたいに、そのことを握りしめていました。
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