「つうと言えばかあ」
というのは、おたがいに気心を知りつくしていて、一言いえばすぐに通じることなのに、
「ああ言えばこう言う」
というのは、あれこれ言を左右にし、ちっとも話が通じないことだ。これだから、日本語は面白い。
「ああ言えばこう言う」
と言ったら、
「それは、�こう言えばああ言う�のまちがいじゃないの?」
と言われた。要するに、同じことである。
右と言えば左
山と言えば川
しかし、
「山」
と言って、
「川」
と答えるのは、赤穂浪士の合言葉で、これが通じなかった日には討ち入りなんてできっこない。通じないのを無理に通じさせることを、
「有無相通ずる」
という。ウム、ホントかね?
「ああ」
と言えば、
「うー」
と言ったのは、いまは亡き大平正芳元首相だ。彼は「うー」と言いながら、次に何を言おうか、考えていたらしい。