「いや、よして」
というのは、
「いやよ、して」
ということだそうな。ホント、読点ひとつで、どうにでもなってしまう。
「雨が降る天気じゃない」
という言い方も、雨が降るのか、降らないのか、もうひとつハッキリしない。早い話が、
「雨が降る天気じゃない」
とつづければ降らないし、
「雨が降る、天気じゃない」
と、読点で切れば降るのである。
「雨が降る日は天気が悪い」
ということわざは、ごくアタリマエのことのたとえだ。同じようなことわざに、
「犬が西向きゃ尾は東」
というのがある。
そういえば、佐藤愛子さんに『犬が西向いても……おかしくない本』(KKベストセラーズ刊)という題のエッセイ集があった。これは、
「犬が西向きゃ尾は東」
ということわざと、
「白い犬で、尾も白い[#「尾も白い」に傍点]」
というシャレをドッキングさせたうえで、もう一ひねりしたものだろう。
ついでに、
「石が流れて木の葉が沈む」
というのは、アタリマエならざることのたとえである。