俗に、
「一天地六」
という。サイコロの目のことである。
サイコロは、西洋ではギリシャ神話に「パラメデスが発明した」とあるそうだが、古くからインド、中国にも存在していたらしい。日本には奈良時代に渡来した。
中国人によると、その目は、一が天、六が地、五が東、二が西、四が南、三が北をあらわし、対応する両面の数の和は七になる。サイコロの目が儘《まま》にならないところから、彼らはこれを宇宙の神秘になぞらえたみたいだ。
それにしても、最も小さい数である一の裏が、最も大きい数の六であることが、生きていることの面白さを感じさせて、何とも言えない。人間、悪いことの裏には、きっとよいことがある。
ところで、美容外科・高須クリニック院長の高須克弥さんが『美人とブスの定義』(エフエー出版刊)という本のなかで、
「ブスは、いったい何を支えに生きていけばいいんですか?」
という質問に、こんなふうに答えていた。
「自分の世界に閉じこもって自分だけの評価、判断で生きること。私は美人だと思って、周りの価値を全部捨ててしまう」
そういう強い生き方ができるのも、不美人だからこそだろう。ホント、この世は、一の裏は六だ——なんて、ロクデモナイ。