いまさら、
「嘘つきは政治家のはじまり」
といったところで、アタリマエすぎて、シャレにもならない。どこかの国の総理大臣は「解散しません」と言っておきながら国会を解散し、選挙の結果、三百議席をこえる圧倒的な勝利を得た。
これを、
「三百代言」
というか、
「嘘から出た誠」
というかは、カラスの勝手だろう。その人の都合で、好きなほうを選べばいい。
「嘘つきは泥棒のはじまり」
ということわざは、
「嘘をつくと、この次は盗みを働くようになる」
という意味である。嘘をつく者は、盗みも恥じない。
だいたいが、盗みに嘘はつきものだ。盗もうと思ったら盗もうと思っているふりをしてはならないし、盗んでも盗んだふりをしてはならぬ。盗もうと思っているふりをしたり、盗んだふりをしたりしたら、何ひとつ盗むこともできない。
「嘘つきは政治家のはじまり」
というのも、似たようなものか? 悲しいことだが、政治家も嘘をつくのを恥じているようでは、たいした政治家ではないのかも知れぬ。