女のひとに、
「イヤよ!」
と言われて、思わず手をひっこめたら、
「バカねぇ」
と笑われた。前にも書いたような気がするが、女のひとの「イヤよ!」には、
「もっと乱暴に扱ってくれなくちゃ、イヤッ」
という意味もあるんだそうだ。
「それなら、最初っからそう言えばいいじゃないか」
と言うと、こんどは、
「女心を知らない」
と詰《なじ》られた。それこそ男心を知らない仕打ちである。
女のひとには男心を弄んで楽しむようなところがある。どうも素直じゃないのだ。
「裏には裏がある」
ということわざは、そんな女心のヤヤコシさを語っているのだろうか? うまい話にワナがあるのはわかるけれど、ウラのウラならオモテじゃないか!
単に、
「裏がある」
ということであれば、
「オモテがある以上、ウラもあるだろうさ」
というふうに納得できる。それが「裏には裏がある」なんて言うからイケナイのだ。
「上には上がある」し、下には下がある。しかし、裏には裏などないほうがいい。