「幕の内弁当」
という。飯とオカズを詰め合わせた弁当のことである。なぜ、そういうか——というと、
「芝居の幕間《まくあい》に食べるから……」
という説がある。ホントは、あれ、芝居の幕間じゃなくって、芝居の最中に食べたほうがおいしいんですけど、ネ。
幕の内弁当の飯は、本来は俵の形をした握り飯、オムスビだ。それも、小さなムスビ、小結である。
「そこから�幕の内弁当�と呼ぶようになった」
という説もある。昔、将軍の相撲上覧の際、力士は、前頭以上でなければ、幔幕《まんまく》の内に伺候することができなかったので、その小結にひっかけた。
ソバ屋のオカメソバは、あれは、お多福のオカメではなくて、
「ことわざの�岡目八目�に由来している」
という説がある。オカメソバには、カマボコ、椎茸、湯葉、ホーレン草、タマゴ焼き、サヤインゲン、ナルト、ノリなど八品目が入って、
「中華ソバ屋の五目ソバより三目多いオカメソバ」
というわけだ。
岡目八目の岡目は傍目《はため》で、
「傍で囲碁を観ていると筋がよく読め、対局者よりは八目ぐらい強い」
ということから、局外に立ってみることの大切さを説いている。