「世間ずれがしている」
といえば、
「実社会で苦労を重ねたため、世間の裏を知っている」
ということだろう。すれているわけだ。
ところが、これを、
「世間の常識や基準から外れている」
というふうに解釈した奴がいる。ずれてしまったわけである。
「親ずれより友ずれ」
ということわざは、
「親から受ける感化や影響よりも、友達から受ける感化や影響のほうが大きい」
といった意味である。この場合の「ずれ」は「世間ずれ」の「ずれ」であって「旅は道づれ」の「づれ」ではない。
しかし、この「親ずれより友ずれ」ということわざを「親連れより友連れ」と解釈したら、どうだろう? すると、
「子供もいっぱし[#「いっぱし」に傍点]になると、親と連れ歩くよりは、友達と連れ歩きたがる」
というふうな意味になって「やっぱり同じだ」ということになりはしないか。
子供には「親から離れたい」という欲求が高まる時期がある。早い話が、思春期などがそうだ。
そんなとき、友達の存在は大きい。子供は親の意見よりも、とかく友達の意見を尊重したがる。成長の一過程である。