東海林さだおさんの漫画『アサッテ君』で、お兄ちゃんが理科のテストで四十点しかとってこないのを、
「ママも理科ダメだったからなァ」
と、ママが嘆いている話が面白かった。ママが、
「カエルの子はカエルねぇ」
と呟いたのを聞き咎《とが》め、おシャマな妹が、
「ママ、それはちがうよ。カエルの子はオタマジャクシだよ」
と注意するのである。
とたんに、
※[#歌記号、unicode303d]オタマジャクシはカエルの子
ナマズの孫ではないわいな
といった歌を思い出すのが、わたしの悪いクセだ。なに、やがて手が出る、アシも出る。
ところで、この「蛙の子は蛙」ということわざは、
「子は親に似るものだ」
という意味にちがいないが、たとえば、
「あいつのおやじも芸はヘタだったけれど、カエルの子はカエルだなァ。やっぱり、あいつもヘタクソだ」
といったふうに、悪いところが似た場合に使うのである。まちがっても梨園《りえん》の御曹司とやらの演技を評するのに、
「さすが蛙の子は蛙だ」
と言ってはいけない——と書きかけて、
「そういやあ、先代もダイコンでしたなァ」