「壁に耳あり」
といえば、
「障子に目あり」
というふうにつづく。そうして、
「徳利に口あり」
といえば、
「鍋に耳あり」
というふうにつづく。要するに、鍋も壁も、わたしたちの話を盗み聞きしているわけだ。おたがい、めったなことで�よからぬ相談�はできない。
飲んで、上役の悪口を言う。サラリーマンの、ささやかな楽しみの一つである。
ところが、翌日もう、上役がそのことを知っていて、
「きみ、ゆうべ、オレの悪口を言っていたそうじゃないか?」
と、皮肉を言われる。きのう一緒に飲んでいた仲間の誰かが告げ口をしたにちがいない。
そこで、ちかごろは、サラリーマン諸氏も、飲んで上役の悪口なんか言わないそうだ。代わりに、女房の悪口を言う。
すると、翌日もう、女房がそのことを知っていて、
「あなた、ゆうべ、あたしの悪口を言っていたでしょう?」
と、イヤ味を言われる。きのう一緒に飲んでいた仲間の誰かが……と考えてきたら、オレ、なんだかコワくなってきた。
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