「カモねぎ」
という。カモの肉にネギまでついている。
言っちゃナンだが、こんなに都合のいいことはない。すぐにでもカモ鍋が楽しめそうだ。
「カモがねぎを背負ってくる」
ということわざは、
「お人好しが、こちらにとって利益になる話をもってやってくる」
ということのたとえである。カモ転じて「お人好し」の意味になった。
「いいカモ」
といった場合は、勝負ごとなどで、簡単にやっつけられてくれそうな相手のことだろう。負けるくせに好きなんだから、チョロい。
「カモにする」
といった場合は、そいつをチョロまかすことである。なんだか寄ってたかって一人から巻きあげている風情で、いけ好かない。
マージャンなどで「カモ」よりヘタな人間は「ウ」と呼ばれる。鵜飼いのウである。ネギどころか、アユまで運んできてくれる。
ひところ、そば屋の「カモなんばん」が、
「じつは、カモを使っていなくて、ニワトリだった」
というので、問題になったことがあった。カモになったのは、客のほうか。
しかし、そういうことなら、キツネうどん、タヌキそばは、どうする? カバ焼きだって、カバを焼いてるわけじゃない。