人生最大のジョークは、
〈女が男に「ねぇ、あたしのこと、愛してる?」と訊き、男が女に「うん、きみのこと、愛しているよ」と答えることではなかろうか〉
と、マジメに考えていた時期があった。ホントに、どうして女は男に「ねぇ、あたしのこと、愛してる?」と訊きたがり、どうして男は女に「うん、きみのこと、愛しているよ」と答えたがるんだろう。
その結果が「結婚」だなんて、あまりにもひどすぎる。言いたかないけど、冗談もホドホドにしてもらいたい。
「ねぇ、愛してる?」「うん、愛してるよ」
このジョークのコワいところはあとになって「あれは、ジョークだった」と言えないことだろう。わたしたちは、この世には、あとになって「あれは、ジョークだった」と言えるジョークと言えないジョークのあることぐらい弁《わきま》えていたほうがヨロシい。
結婚当初は、
「結婚て、なんていいんだろう」
と、男も女も思うらしい。そのうちに、いっぽうだけが、
「結婚て、なんていいんだろう」
と思うようになる。そのぶんだけ、もういっぽうは、
「結婚て、なんてつまらないんだろう」
と思うようになる。それこそ「聞いて極楽 見て地獄」だ。