古川柳に、
させろとはあんまり俗な口説きよう
というのがあるそうな。言っちゃナンだが、情緒もへったくれもない。
そう言うと、
「しかし、することは同じじゃないか」
と居直る奴がいるから、憎らしい。失礼ながら、どうせ同じことをするのだから、せめてそこへ至るまでの過程を大事にしたいのである。
多少はメンドくさいかも知れないけれど、
「好きだよ」
「ホント?」
「ホントだとも」
「どれくらい?」
「これくらいさ」
といったヤリトリぐらい交わしたい。
それでも、
「ね、いいだろ?」
ということになると、きまって女のひとが言う言葉は、
「あたしたち、このままお友達でいましょうよ」
面白いことに、女から、
「このままお友達でいましょう」
と言われた男で、その女と友達でいる男なんて見たことがない。たいがいはケンカ別れになっている。
それもこれも、なまじ口説くからいけないのだ。まことに「口は禍いの門」である。