「口は口 腹は腹」
ということわざもある。言うことと思っていることがちがう人間のことである。
口では、
「お気の毒です」
と言っておきながら、腹の中では「ザマミロ」と思っている。どうにもイヤな奴である。
「口も口 手も手」
ということわざになると、
「言うことも上手だが、やることも上手だ」
という意味になってくるから、面白い。口も達者なら手も達者な人間のことである。
それが、
「口も八丁 手も八丁」
ということわざになると、この「口も口 手も手」ということわざの意味のほかに、
「小器用だが、お喋り」
といった意味が加わることもあるから、ますます面白い。この場合の「八丁」は、江戸時代の八挺艪という舟が小回りもきき、便利だったため、人並み以上の「八挺」と多くの数を示す「八丁」が掛けられているのだろう。
そして、これが、
「口たたきの手足らず」
ということわざになると、
「言うことばかり達者だが、やることはお粗末だ」
という意味になる。わたしなんぞは、さしずめ、この「口たたきの手足らず」だ。