女の人たちは、
「浮気と不倫は、ちがう」
と考えているようだ。浮気はフワフワしている感じだが、不倫の場合はなんか一途《いちず》みたいである。
「不倫」
ということばを『広辞苑』で引いたら、
「人倫にはずれること。人道にそむくこと」
とあり、用例として「不倫の愛」と出ていた。いま、ふつうに使われているのは、この用例のことだろう。
それにしても、人の道にはずれている恋だ。
相手に女房や子供がいようといなかろうと、また自分に亭主や子供がいようといなかろうと、いや、だからこそ燃えるのか?
不倫の相手に、
「あたし、不倫ってことば[#「ことば」に傍点]、嫌いよ」
と囁いた女性がいるそうな。彼女にしてみれば、自分のやっていることが、
「人の道にはずれていること」
とは思いたくなかったのだろう。
彼女にとっては、たまたま相手に女房のいたことが、あるいは自分に亭主のいたことがまちがっていたのだ。ホント、女のひとが男を好きになってしまったら、理屈も常識も通用しない。
不倫も「フリン」と書かれると、ひどく軽くなる。それは、浮気というよりはファッションである。