「カマトト」
というのは、
「カマボコって、おトトなの?」
と、女性が驚いてみせたことに由来している。わかりきったことを知らないふりして、いかにも初心《うぶ》らしく振る舞うことを指す。
「ぶりっコ」
というのは、ブリの子ではなくて、ぶる[#「ぶる」に傍点]子だ。たとえば「いい子ぶりっコ」「かわい子ぶりっコ」の類である。
ブリは「出世魚」といって、成長の過程で呼び名が変わる。それも、東京地方と大阪地方では異なっていて、東京地方ではワカシ→イナダ→ワラサ→ブリとなり、大阪地方ではツバス→ハマチ→メジロ→ブリとなる。
「ブリの大きいのを�大ブリ�と言い、小さいのを�小ブリ�と言う」
というのは冗談だ。こういう冗談は本気にするひとがいるから、困る。
「雑魚の魚まじり」
ということわざは、雑魚が大きな魚にまじっているように、弱小な者、身分や能力の不相応な者が強大な者や秀れた者のなかにまじっていることのたとえだ。べつに「目高も魚《とと》のうち」ともいう。
とかくメダカは群れたがる。弱小な者は、なにかというとグループをつくって、数の力でモノを言おうとする。
もっとも、クジラも群れたがるけど、ね。