子供の遊びのジャンケンをするにしても、大人の遊びでサイコロを振るにしても「三回勝負だぞ」ナンテことを言う。一度の勝負で決めずに、三回勝負して二回勝ったほうか、三度目の勝ちを「勝ち」とするのである。
占いごとや賭《か》けごとは、はじめの一回、二回はアテにならないが、三度目は確実だろう。そこから「ものごとは三度目が大切」「三度目こそ正念場である」といった意味で、
「三度目の正直」
ということわざが生まれた。
それにしても、
「二度あることは三度ある」
と言っておきながら、二度ないときも、三度目に期待している。人間なんて、勝手なものだ。
おみくじにしたって、悪い卦がでた場合は、一度や二度じゃやめない。三度目も悪い卦だったら、三度目はなかったことにして、もういちど引く。これが良かったら、こいつを三度目にする……。
彼女に、
「好きだよ」
と言って、嫌われる。それでもめげずに「好きだよ」と言って、また嫌われる。
ここで諦めてしまうようでは、恋などできない。もういちどしつこく迫って「好きだよ」と言ったら、案外……てなことはないだろうなあ。