昔っから、
「姑と嫁とは仲が悪い」
と、相場が決まっている。あれ、仲が悪いから、野郎どもも、
「いい加減にしてくれよ」
とかナンとか言って、表へ飛び出し、遊びに行くこともできるのだが、これが仲が良かった日にゃ、ろくに表へ飛び出すわけにもいかず、堪らないだろうなあ。
嫁は「姑にいびられた」と言い、姑は「嫁にいじめられた」と言う。いびられた奴がいて、いじめられた奴がいるんだから、いびった奴も、いじめた奴もいておかしくないのに「あたしは嫁をいびった」「わたしは姑をいじめました」と言う奴が一人もいないのは、不思議である。
誰か、ウソでもいいから「あたしは嫁をいびった」「わたしは姑をいじめました」と言ってみないかなあ。そうすれば、姑と嫁との関係も、もう少し明るくなるようにわたしには思えるが……。
「姑の文で嫁憎い」
ということわざは「嫁憎い」を「読みにくい」にかけたシャレで、
「姑という字は難しい。仮名で書いても難しい」といった意味だが、姑の手紙に嫁の悪口がいっぱい書いてあるサマを思わせる。
嫁はやがて姑になり、こんどは息子の嫁をいびる。悪循環だァ。