正直な話、マメな男とつきあっていると、
「オレも、あれくらいマメにならなきゃ」
と思う。それこそ彼だけがモテているのを、
「なにも指くわえて眺めていることはない」
といった気にもなってくる。
いわゆる非行少年に、
「なぜ非行に走ったのか?」
と訊いたところ、そのほとんどが、
「悪い友達に誘われて」
と答えている。誘われた連中ばかりで、誘った者が一人もいないのも、これまた不思議である。
「朱に交われば赤くなる」
ということわざは、顔料の朱の中に他の色をまぜると、その朱に染まって赤くなるように、
「人は交際する仲間によって、善くもなれば悪くもなる」
といった意味だ。ホント、人はつきあう相手に感化されやすい。
だから、
「友達を選べ」
ということにもなるのかも知れないが、子供にとっては、いや、大人にとっても「悪友のほうが面白い」ということもある。
それにしても、
「悪い友達に誘われたので、非行に走った」
と言うんでは、いかにも自主性がない。せめて悪いことをするときぐらいは、他人のせいではなくて、自分自身のせいにしたい。