「西向く士《さむらい》、小の月」
と覚えた。二月、四月、六月、九月、十一月は小の月である。
太陰暦(旧暦)では、
「正月小なし二月大なし」
と言うんだそうな。正月が小の月(二十九日)という例はなく、二月が大の月(三十日)という場合もないことを指す。
太陰暦は、月が地球を一周する時間を基にして作られている。人が胎内にいる期間である「十月十日」も、この太陰暦で計算しなければ、数が合わない。
「二月でただ一つ良いことは、他の月より短いことだ」
という言葉がイギリスにある。お天気博士の倉嶋厚さんが、
「二月の気候がよくないイギリスの季節ごよみに載っている」
と紹介していた。
トシをとってくると、一日一日は長いが、一年は短い。されば「一ヵ月は、どうか?」と言うと、長いような短いような。
そんな人生に、
「大の月もあれば、小の月もある」
ということは、言うに言えない人間の知恵だろう。毎日が幸せな人ならば、
「二月でただ一つ悪いことは、他の月より短いことだ」
と言うにちがいない。