「住めば都」
ということわざは、
「住み慣れれば、どんな辺鄙《へんぴ》な土地でも住みよくなる」
という意味である。転じて、
「物質的なわびしさも、慣れれば精神的な楽しさにつながる」
といったことにもなるようだ。なんだか�ヤセガマンのすすめ�みたいだね。
このことわざを、
「住むなら都」
というふうに受けとめている若者もいるらしい。これでは、まるっきり意味が逆になってしまう。
そりゃあ、住むには都会のほうが、なにかと便利だ。その代わり、誘惑もまた多い。
逆に言えば、都会には魅力がありすぎるから、都会の人口が増えるばかりなのである。都会から少しずつ魅力を減らせば、都会の人口もまた、減るだろう。
その一つの例が大学だ。都会から大学を地方に移せば、なんだかワケのわからんような若者も地方に散って、都会も、もうちょっと住みよくなるのではないか。
そう言ったら、学生たちから「困る」と抗議された。彼らに言わせると「そんなことになると、アルバイトができなくなっちゃう」ということだ。住むなら都は、アルバイト先のある都でもある。