「善は急げ」
ということわざは「悪は延べよ」というふうにつづくのがホントらしい。よいことはためらわずに実行するばかりでなく、悪いことは延ばせるだけ延ばさなくてはいけないのである。
よいこと、悪いことのなかには、自分にとって都合のよいこと、都合の悪いことも含まれているのではないか。だったら、このことわざは、
「自分にとって都合のよいことはためらわずに実行する。その代わり、自分にとって都合の悪いことは延ばせるだけ延ばそう」
ということになってしまう。いやはや、まことに都合のよいことわざではある。
しかし、世間というものは、そんなに甘くない。おおむね自分にとって都合のよいことは世間的には悪いことだし、自分にとって都合の悪いことは世間的によいことだ——と、なぜか相場がキマッテル。
「善は急げ」
というのをもじって、
「電話急げ」
というのは、どうだろう? 電話のベルが鳴ったら、すぐに出るのである。いや、そうじゃなかった。最近の子供たちは長電話が好きだから、そういう子供たちに、
「長電話はやめよ」
という呼びかけだ。