鶴田洋子さんの『おかあさんのことば教室』(筑摩書房刊)を読んでいたら、横浜市日吉南小学校の植垣先生が子供たちに�創作コトワザ�を作らせている話が紹介されていた。
子供たちのいわく——
ハゲでなやめばまたハゲる
屁も健康の第一歩
旅のはじも大切
楽が苦になる
なかでも「旅のはじも大切」というのが、気に入った。これは、ひょっとしたら、
「旅の恥はかきすて」
という、もとのことわざよりも秀れているのではなかろうか?
もとのことわざは、良い意味に解釈すれば、
「かいてしまった恥は、仕方がない。旅先のことだから、そんなに気にかけることはない」
ということだ。が、悪い意味に解釈すれば、
「旅先での恥は、その場だけのものだ。だから、多少は恥ずかしいことをやったって構うものか」
ということになる。
良い意味と悪い意味があれば、とかく悪い意味に解釈したくなるのがわたしたちの悪いクセだが、
「旅のはじも大切」
というのには、それがない。恥に対する感覚が子供に及ばないとしたら……おお、恥ずかしい。