冗談に、
「給与が銀行振り込みになってから、亭主の権威が落ちた。やはり、サラリーマンの女房には、月給日のありがたさを知ってもらわなければ……」
と言ったら、ある女のひとに「給与が銀行振り込みになったぐらいで落ちる亭主の権威なんて、はじめっから落ちたほうがいいのよ。そんなの、ホントの夫婦じゃないんだわ」と言われちゃった。モットモである。モットモすぎて、面白くも、ナンともない。
こっちは、もともと冗談を言っているのだ。ちょっぴりホンネがまじってはいるが、あくまでも冗談は冗談だ。また、ちょっぴりでもホンネがまじっていないような冗談は、冗談としても程度が高いものではない。
「妻の恥は夫の恥」
ということわざも、冗談としては、かなり高級なほうだろう。妻の恥が夫の恥だったら、夫の恥は妻の恥か?
妻に言わせれば、
「妻の恥は夫の恥かも知れないけれど、夫の恥は、やはり夫の恥だわ」
ということだ。よくわからないが、
「たとえやりくりが下手でも恥ずかしくないけれど、月給が安いのは恥ずかしいことだ」
というのである。
いやはや、こんな恥ずかしいことを言う女房を持ったのは、まさに亭主の恥だろう。