一九八五年(昭和六十年)のプロ野球セ・リーグは、二十一年ぶりに阪神タイガースが優勝し、おまけにパ・リーグの西武ライオンズまでやっつけ、日本一になって、吉田采配の「放任野球」ということが話題になった。西武ライオンズ広岡達朗監督の「管理野球」に対する「放任野球」だった。
しかし、わたしに言わせれば、阪神タイガース吉田義男監督は、暴れモンの掛布や岡田を管理したくても、
「できなかったんだ」
という気がしてならぬ。それが、たまたま�いい結果�につながっただけのことではあるまいか。
ことわざに、
「虎の尾を踏む」
というのがある。非常な危険を冒すことのたとえだ。要するに、
「オッカナビックリ」
ということですね。見方によっては「屁っぴり腰」と言えないこともない。
だが、監督の逡巡のおかげで選手たちが伸び伸びやれたんだから、結構なことだ。それこそ、
「結構毛だらけトラ灰だらけ」
と言いたいくらいのものだ。
「ニッポン株式会社の管理職諸君! 逡巡もまた管理上の大切な才能ですゾ」
とは、ちと言い過ぎかな?