生兵法の「生」は「未熟」とか「不十分」という意味だろう。要するに、ナマなのである。
だから、
「生兵法は大怪我のもと」
ということわざは、
「なまじっか少しばかり武術を知っていると、それに頼ってしまって、大怪我の原因となる」
という意味だ。現代なら「運転未熟なドライバーは事故のもと」といったところか。
アメリカの男性が結婚相手の女性に求める条件の一つに、
「自動車の運転ができること」
というのがあるそうな。
「なぜ?」
と訊いたら、
「だって、夫婦ゲンカなんかやった場合、ヒステリーを起こし、ひとりでクルマに乗って突っ走り、事故を起こしてくれるじゃないか」
ということであった。もちろん冗談だが、生半可なことでは自動車の運転もできない。
この「生半可」は半可通の上に「生」がついたものだろう。半可通は、よく知らないのに知ったふりをすることで、その上に「生煮え」の「生」がつくんだから、はんか[#「はんか」に傍点]くさい。
「生兵法は大怪我のもと」
ということわざに似たのに、
「水を知る者は水に溺る」
というのがある。なまじ水に慣れるから溺れてしまうのだ。