ふざけて、
「憎まれっ子世にはばかる」
というところを、
「憎まれっ子世にはびこる」
と言ったら、この「はばかる」には「はびこる」という意味があるんだそうだ。べつに、ふざけたことにはならなかったみたいで、拍子抜けした。
他人から憎まれるような奴が、かえって世間ではハバを利かしているようだ。また、そういうような奴でなければ、なかなか自分の意志は通せない。
そう言ったら、
「その点、オレなんざ気が弱いから駄目だなあ」
と呟いた男がいる。みんなの前で、こういうことが平気で言えるような男は、気が弱いどころか、ホントは気が強いんじゃないかしら。
それにしても、
「憎まれっ子世にはばかる」
という言葉のニュアンスは「憎まれっ子がデカい面をしている」というよりは「憎まれっ子がワンサカいる」というほうに近いんではなかろうか? なんだか、いじめっ子がいっぱいいるみたいで、おぞましい。
しかし、現実には、いじめっ子よりは、いじめられっ子のほうが多い。その証拠に「オレはいじめられた」と言う奴にはお目にかかるが「オレはいじめた」と言う奴には会ったことがない。