ちかごろは、ネコもシャクシも、
「一個二個」
と数える。失礼ながら、ネコは一匹二匹、シャクシは一本二本だ。
ウサギは、一羽二羽である。ウサギを一羽二羽と数えたことについては、
「ウサギの毛がフワフワしているから」
ということもあるが、ケモノを食べてはいけない時代にウサギだけは例外で、
「あれは、鳥なんだ」
と、自分にも、他人にも言い聞かせていたようなフシがある。
そうすれば、ウサギも食べることができたのだろう。ひょっとしたら、鹿だって、猪だって「一羽二羽」と数えていたのかもわからない。
そのウサギを捕まえるのに、
「あっちのウサギも、こっちのウサギも……」
というふうに追いかけていたんでは、結局、両方とも逃がしてしまうことになる。俗にいう「アブハチ取らず」である。
クモのやつ、巣にかかったアブも、ハチも取ろうとして糸を出しはじめるが、残念ながら、両方とも巻きそこなう。
いや、それだけではない。そうやってワッサワッサやっているところを鷹に狙われ、エサにされてしまう。
恋だって、そうだ。いっぺんに二人も三人も構うな! 一人ぐらい、こっちに廻せ。