ふざけて、
「能ある鷹はヘソを隠す」
と言ったことがある。べつに意味なんかない。
ただ、テレビのCMに、
「おまえ、ヘソねえじゃねぇか」
というのが流れていたので、それをもじっただけだ。
そう言うと、
「いやあ、ゴケンソン、ゴケンソン。それこそ�能ある鷹は……�ですヨ」
ともちあげられたのには、マイッた。ヨイショもここまでくると、芸である。
それは、まあ、それとして、
「能ある鷹は爪を隠す」
ということわざは、
「実力のあるものほど、それをひけらかさないものだ」
という意味だろう。はじめっから能ナシだったら、爪なんか隠したって、ムキダシにしたって、意味がない。
しかし、この世は、えてして能のない人間ほど爪を、いや、ヘソをみせたがるものだ。ホント、ちかごろの女性タレントたちのなかには、ヘソをみせるだけで能あるつもりのものがいるから、叶わない。
ヘソなんか見たって、しょうがないのである。わたしたちが見たいのは、ヘソじゃなくって——と書きかけたら「その下か!」という内心の声がした。