「セクシャル・ハラスメント」
という。性的いやがらせのことである。会社で、男の同僚が「やあ」とかナンとか言いながら女のお尻を触っていくなどは、その最たる例だろう。
「会社で、お尻を触る」
ということで思い出した。いまでも時折テレビのCMでみかける女性タレントから聞いた話だ。
——彼女、十年ほど前に、あっちこっちのテレビ局に出演し、たとえばトーク番組のコーナーでエレクトーンを演奏してみせ、けっこう人気者だった。そこで「テレビ局にも、社風のちがいみたいなものはある?」と訊いたところ、当時はまだ社名のアタマに「教育」ということばがついている某民間放送局の名を挙げて、
「あそこの人たちは、お尻を触ってくれないわねぇ」
彼女の番組は、朝なのである。こっちは、ビックリして「だって、きみが出ているのは朝だろ?」と言うと、
「朝だってナンだって、ヨソの局の人たちは触ってくれるわ」
じつに爽やかに笑ったものだ。
こんなのを、
「ノレンに腕押し ヌカに釘」
と言うのではなかろうか。張り合いのないこと、おびただしい。