「腹も身のうち」
という。あれだけ「背に腹は代えられぬ」と腹をかばっておきながら、いっぽうでは、
「腹も、体の一部であってみれば……」
と、なんとなく冷たい素振りである。
でも、まあ、
「大切にしよう!」
ということに変わりはないのだから、佳《よ》しとするか。ホント、胃腸も体の一部なのだから、むちゃな大食をしてはならぬ。
「グルメ」
というのは、もともとは「グルマン」で「大飯食らい」のことだ。食が細くっては、ものの�うまい、まずい�はわかるまい?
それにしても、
「暴飲暴食」
というのは、よくない。孔子さまも「暴飲暴食|鮮《すくな》し仁」と言っておられる。
「腹も身のうち」
ということわざは、
「食傷も病のうち」
というふうに、つづけて言われることがある。食傷すなわち「食傷気味」の食傷で、食べすぎのことである。
昔は、飯を食うときに、
「あと一杯というところで、やめておけ」
と言われたものだ。それが「腹八分目」だった。いまの子供たちは、飯なんか一杯しか食べない。