日がさ雨がさ月がさ日がさ
「観天望気」
という。気象用語で、額に手をかざして空を眺めることである。どんなに気象衛星が雲の動きを送ってきても、天気予報で最後にモノを言うのは、予報官が空を眺めての判断だ。
ときに海辺の漁師たちが予報官より天気を当てたりするのも、この「観天望気」にくわしいからだ。漁師は、砂浜に干したフンドシの乾き具合、湿り具合で、晴れか雨かを占う。
農家の人たちだって、同じことだ。農家の人たちは、ネコが顔を洗ったり、太陽がカサをかぶったりしているのをみて「あしたは雨だ」と言う。
「日がさ雨がさ月がさ日がさ」
ということわざは、
「太陽が日暈《ひがさ》をかぶっているときは雨が降るし、月が月暈をかぶっているときは好天気がつづく」
という意味である。あとのほうの「日がさ」は「日暈」ではなくて「日傘」で「日傘が要るような良い天気」だ。
科学的根拠のほどは、わからない。が、こういった天気のことわざには、父祖からの伝統的な経験がもたらす知恵みたいなものが詰まっている。
「富士山が笠をかぶれば雨」
というのも、そんな天気のことわざの一つである。河口湖測候所の調べだと、七〇パーセントから七八パーセントの確率だそうだ。