ことごとに他人の容貌をからかう奴がいる。
どんなにいい[#「いい」に傍点]男か知らないが、不愉快きわまりない。
失礼ながら、テメエだってドッコイドッコイじゃないか。いや、ドッコイドッコイの奴に限って、他人をからかうようだ。
前にも書いたが、あれ、テメエも容貌に自信がないもんだから、いつからかわれやしないか——と、不安で不安で、それで先に誰かをからかおうとしているんじゃなかろうか。
その証拠に、ホントにいい[#「いい」に傍点]男は、他人の容貌なんかからかわない。だいだい、気にもかけていないんじゃないか。
「美女は悪女の敵」
ということわざは、
「醜い女性は、世の中に美人がいるために肩身が狭く、不幸な目に遭うと思い込んで、勝手に美女を憎む」
という意味である。たまたま美人に生まれたものは、堪ったもんじゃない。
女性でありながら、自分で自分のことを醜いと思っているから、美人を見ると腹が立つのである。美人を見ても腹を立てないでいるには、自分のことを醜いと思わなければいい。
「醜い」
と言う奴には言わせておけ。そんなことを言う奴は、自分でも自分のことを醜いと思っているにちがいない。
気の毒な人間なのだ。