世間の口は、うるさい。噂は、またたくまに広がってしまう。それが、よくない噂であれば、なおさらだ。
言っちゃナンだが、これは、好奇心のなせる業だろう。世間は、好奇心に満ちている。
しかし、すぐに忘れてくれるのも、また世間だ。彼らの好奇心なんて、そんなに持続しない。世間の噂は、どんなにやかましくても、精々七十五日もたてば、収まってしまう。
したがって、
「たとえ噂をたてられたところで、しばらくじっとしていれば、やがて解放される」
というのが、このことわざの言わんとしているところだ。七十五日に、とくに意味はない。
どこかの宰相が、航空機の購入にからんで五億円もらったことも、もう忘れられようとしている。あれは、単なる噂ではなかったように思うが、それでも忘れてもらえる。
「七十五日」
ということについては、
「初ものを食えば七十五日寿命が延びる」
ということわざもあるように、一つの区切りというか、適当な数をあらわしているにすぎない。噂が立ってから、指折り数えて「七十三日。七十四日。さあ、七十五日だ。噂も消えたぞ」といったものではないことは、もちろんだ。
だいたい、いつをもって噂が立った日というのかね?