映画『危険な情事』を観た感想にかんしては、
「あんなしつこい女、どこにもいないわよ」
という女性の言葉も嬉しかったが、
「私が妻の立場だったら、最後は女を撃たずに、夫を撃つわ」
という別の言葉が面白かった。失礼ながら、
このひと、結婚したことが、いや、男を愛したことがないのではなかろうか。
ふつう女は、愛する男がヨソの女に気を移した場合、男を憎まずにヨソの女を憎む。女にしてみれば、男を奪っていったヨソの女が悪いのである。
これが男だったら、ちがう。かりに愛する女がヨソの男に気を移したような場合、ヨソの男に気を移した女を憎む。男にしてみれば、ヨソの男に気を移した女が悪いのだ。
どっちにしたって、女が悪い。よく知らないけれど、そういうものらしい。
だから、女よ! 言っちゃナンだが、めったなことでヨソの男に気を移したりしてはいけないぞ。ついでに言うなら、彼をしてヨソの女に気を移させてもいけません。
「人を呪わば穴二つ」
ということわざは、他人を呪って殺そうと墓穴を掘る者は、その報いが自分にも及び、自分が埋められる墓穴も掘らなければならなくなる——という意味だ。映画『危険な情事』の女主人公に、このことわざを教えてやりたかった。