「似たもの夫婦」
という言葉がある。性質や趣味が似ている夫婦のことである。
夫婦を長いことやっていると、いつのまにか性格や好みが似てくる。これは、一緒に生活しているんだから、アタリマエといえばアタリマエのことだ。
たとえば亭主が「こうしよう」と思っているときなど、長年連れ添った女房なら、
「亭主が�こうしよう�と思っているだろう」
と思うことぐらいできるだろう。逆に、女房が「ああしよう」と思っているときも、長年連れ添った亭主なら、
「女房が�ああしよう�と思っているだろう」
と思うことぐらいできる。
そのうちに、
「亭主が�こうしよう�と思っているだろう」
「女房が�ああしよう�と思っているだろう」
といったふうには思わずに、それぞれ、いきなり、
「こうしよう」
といったふうに思うようになる。つまり、考えが似てくるのである。トーゼンのことながら、顔つきまで似てくる。
それが、
「どれくらい似るか?」
というと、イトコみたいに似てくる。それも、幸せな結婚生活を送った二人ほど似ているそうだから、面白い。