「嘘から出た誠」
というのは、嘘をついたつもりが、結果としては本当になってしまうことである。ホント、うっかり嘘もつけない。
「身から出た錆」
というのは、自分が犯した過失や悪行のために、自分が苦しむことである。自分の過失や悪行の結果として自分が苦しむわけだから、誰のせいにもできない。そこで、
「身から出た錆は研ぐに砥《と》がない」
という言い方もある。砥は砥石である。言っちゃナンだが、こういうのを「身も蓋もない」というのではなかろうか。
ああいうことをすれば、
「こういったことになる」
というのは、わかっていたはずである。それなのに、この期に及んで「オレの子じゃない」ナンテ! そりゃ、聞こえません、伝兵衛さん。
ドイツの詩人ヴィルヘルム・ブッシュに、
「父親になるのはむずかしくはないが、父親であるのは非常にむずかしい」
というのがあるそうな。なる[#「なる」に傍点]とある[#「ある」に傍点]とのちがいである。
しかし、ああいうことをするのを�過失�とか�悪行�とか言うんだろうか。ま、過失みたいな気はしますけど、ネ。
されば、これを「蒔《ま》かぬ種は生えぬ」と言うか? それとも「自業自得」と言うか?