ふざけて、
「ユズよりスダチ」
という。徳島特産のスダチのCMだが、もちろん「氏より育ち」をもじっている。
「アンズよりウメが安い」
というのもある。これは「案ずるより産むが易い」のシャレだろう。
「濡《ぬ》れ手で粟《あわ》」
ということわざを「濡れ手で泡」と思い込んでいた男がいる。要するに「掴《つか》もうとしても掴めないこと、いくら努力しても無意味なこと」というふうに解釈していたらしいのだ。
そう言ったら、
「いや、そういう意味じゃない」
と、ガクをひけらかす奴が出てきた。彼に言わせると「これは、ソープランドのことじゃないか」ということだった。
「水泡に帰す」
というが、
「水の泡」
というのも立派なことわざである。くやしいけれど、努力しても甲斐ないことのたとえだ。
——肥満を防ぐために、ジョギングをはじめた男がいる。が、一向に効き目があらわれない。
聞けば、汗をかいたあと、ついビールを飲んでしまうらしい。せっかくやせようとしてはじめた努力も、水の泡ならぬビールの泡で消えていた。