女房に、
「あなた、浮気したでしょ?」
と問い詰められて「ハイ、しました」と、白状した馬鹿がいる。彼に言わせると、
「あくまでも浮気で、本気じゃなかったんだからいいじゃないか」
ということだが、そんな理屈は女房の前じゃ通らない。
女房にしてみたら、ただただ否定してくれれば、それでいいのである。女房のやつ、その否定のしかたに何かを賭けているようなところがある。
オフィス・ラブの始末についても、同じことが言えるだろう。うっかり社内のカワイコちゃんに手をつけ、バレてしまったような場合でも、上司相手に「知らぬ、存ぜぬ」と言い張ることができるか、どうか。
それができないようだったら、失礼ながらオフィス・ラブなどやらんほうがよろしい。会社の上司があなたを呼びつけ「あの噂は、ホントウか?」と詰問するときは、噂の真偽なんか確かめていない。ただただあなたにシラを切り通すだけの才覚があるかどうかを調べているにすぎない。
世の中には、
「見たら見流し 聞いたら聞き流し」
ということもあるのである。さらに進んで
「見ても見ぬふり 聞いても聞かぬふり」ということだってあるにちがいない。