俗謡に、
※[#歌記号、unicode303d]丸い卵も切りようで四角 物は言いようで角が立つ
というのがある。ホントに、うまいことを言うもんである。
たとえば、
「彼は仕事ができる。しかし、女好きだ」
と言った——としよう。いかにもスケベらしくて、マイナス・イメージだ。
ところが、これを引っくり返して、
「彼は女好きだ。しかし、仕事ができる」
と言ったら、どうか? なにやら利《き》け者みたいで、プラス・イメージである。
同じことでも、言いようによってはマイナス・イメージになったり、プラス・イメージになったりする。同じことが、接続詞の「しかし」の前にあるか、うしろにあるか——で、ずいぶんちがうものだ。
なろうことなら、
「彼は仕事ができる。しかし、女好きだ」
と言われるよりは、
「彼は女好きだ。しかし、仕事ができる」
と言われるような人間になりたい。が、そのためには、わたくし、まず女好きにならなければ……と考えたら、いささか自信がなくなってきた。
——と言うと、いかにも女好きじゃないみたいで、やはり「物は言いよう」ですね。いや、まったく!