「同窓会シンドローム」
というのがあるそうな。
久しぶりに出席した高校かナンかの同窓会で、
「おやッ?」「あらッ!」
と�初恋の君�に再会する。おたがいに手をとって、
「あれから、どうした?」「あなたこそ」
と話が弾むうちに、それぞれ亭主持ちであり、女房持ちであることを知る。
しかし、まあ、そういうことは運命の悪戯《いたずら》のせいにして、
「好きだったのよ」「いやあ、オレだって」
ということになれば、話は早い。行きつくところは、キマッテル。
そこは、勝手知ったる仲だから、いや、あのころは、どこが玄関で、どこが勝手口だかわからない仲だったから、一気に燃える。かくて二人は、あらためて、
「焼けぼっくいには火がつき易い」
ということわざを思い出すことになる。
燃えさしの杭《くい》は火がつきやすいところから、いちど途絶えたことはすぐ元に戻ること、また戻りやすいことのたとえだ。男女の関係も、同じだろう。
それにしても、こっちは、
「男女七歳にして席を同じうせず」
という教育を受けた。同窓会を開いても、集まるのは野郎ばかりで、シンドロームになりようがない。