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男のためいき女の寝息20

时间: 2020-02-04    进入日语论坛
核心提示:女言葉・男言葉自慢じゃないが、ナニワブシで育った。先代・広沢虎造さんの『お民の度胸』なんざ、胸ェワクワクさせながら聞いた
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女言葉・男言葉

自慢じゃないが、ナニワブシで育った。先代・広沢虎造さんの『お民の度胸』なんざ、胸ェワクワクさせながら聞いたものだ。
とにかく、お民のセリフがいい。お民は、ご存じ森の石松の幼《おさな》馴染《なじみ》・七五郎の女房だが、都鳥一家に追われた石松をかばって死を決意した七五郎が、お民に災難が及ぶのを防ごうとして離縁を言い渡すと、
「おまえ、なにかい? エラそうにタンカ切ってんのかい?」
と、尻をまくるのである。そうして、
「あたいが聞いてると、ちっともエラそうに聞こえないよ。おかしくってしようがない。ただのおかしいんじゃないよ。鳴り物が入って、ちゃんちゃらおかしいってんだよ」
ここで私事を申しあげれば、昭和ヒトケタ生まれのわたしにとって、このお民さんは、理想の女性像の一つでもあった。その乱暴な男言葉を耳にしては、逆に彼女の女らしさにしびれていた。そんなわけで、
「ちかごろの女子中学生、女子高校生が好んで男言葉を使っている」
と聞いたところで、
「そんなものかなあ」
といった感慨しか湧かない。言っちゃナンだが、憧れのお民さんほど伝法な口が利けるわけのものでもなかろう。聞けば、
「ざけんなよ」
「ばっくれんな」
「このタコ」
「ねーよ」
といったところが、彼女たちの得意な言いまわしらしい。果ては、セーラー服の女の子たちが、
「てめえ、それでも女かよォ」
とやっているそうだから、バカらしい。
失礼ながら、
「幽霊の正体みたり」
という感じである。彼女たちは、せいぜい粗暴で野卑な言葉遣いをしてみせることで、自分たちが女であることを強調しているにすぎない。
NHK放送文化研究所がアンケート調査したところによると、
「男言葉を使う女子中学生は約六割、女子高校生は約五割」
ということだが、このわたしに言わせれば、それだけの女子中学生、女子高校生が、性にめざめ、女であることを意識しているものの、そのはけぐち[#「はけぐち」に傍点]がわからなくて、混乱しているのだ——ということになる。
もちろん、いわゆる識者のなかには、もっともらしく、
「この男女差別の社会にあって、彼女たちの言葉が粗暴で野卑になっているのは、何とかして男性と平等で、対等の意識を持ちたいという欲求の現われだ」
というふうに説明する向きもあろう。あるいは、女子プロレスやツッパリ・ドラマなどテレビの影響を口にする人もいるだろう。
それにしても、ふつうの男たちは、彼女たちみたいに、
「むかつく」
「はんぱじゃねえか」
といったふうな乱暴なモノ言いはしない。彼女たちが使う男言葉のほうが、男たちが使う男言葉よりも、はるかに粗暴で野卑なのである。
そのことからも、彼女たちが好んで男言葉を使うときは、
「自分たちが女であることを強調しようとしているのだ」
ということがわかる。それこそ野卑で粗野な言い方を許してもらうなら、あいつら、みんな色気づいているだけのことだ。
男言葉を使うなら、せめてお民さんのように、大人の色気で迫ってもらいたい。さもなかったら、みっともないから、やめときな。
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