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男のためいき女の寝息24

时间: 2020-02-04    进入日语论坛
核心提示:考えておく「考えておく」という返事は、昔は、拒絶の意志の婉曲《えんきよく》な表示だった。他人にものごとを頼んで、「考えて
(单词翻译:双击或拖选)
考えておく

「考えておく」
という返事は、昔は、拒絶の意志の婉曲《えんきよく》な表示だった。他人にものごとを頼んで、
「考えておく」
と言われたら、一応は礼を言って諦めるのが常識だった。
断るほうも、
「イヤだ」
とか、
「できない」
とか答えたんではニベもないし、角が立つだろう——と思うから、
「考えておく」
と答えるのである。頼むほうも、そのへんは察していた。
ところが、ちかごろ、そんな配慮は無用になったみたいだ。ものごとを頼まれて、
「考えておく」
と答えると、二、三日してから、いかにも間延びした声で、
「考えておいてくれましたか」
といった電話がかかってくる。
そこで、
「だから�考えておく�という言葉は�できない�という意味だったんだよ」
と説明しようものなら、
「困るなあ」
とたんに居直るから、始末にわるい。いったんもの[#「もの」に傍点]を頼んだら、すっかりゲタをあずけたつもりである。
いや、ホントのことを言うと、あっちだって、
「考えておく」
という言葉が婉曲な拒絶であることは、薄々は承知しているらしい。その証拠に、若いセールスマンが、
「大阪で�考えておく�と言われたら、まず九分九厘ダメですね。でも、東京で�考えておく�と言われた場合は、黙って引き下がるテはない、もう一押しすると、面白いことに半分以上は何とかなる」
と、わたしに語ったことがある。
「大阪の人に比べると、東京の人は気が弱いんでしょうかね」
ナマイキに、こっちの気が弱いのを楽しんでいる風情である。
「だいたい、もう一押しして、ダメならダメで、もともとでしょ? 頼んで、断られれば、べつに借りができたわけでもなし……」
言っちゃナンだが、こっちが相手を傷つけまいとして気を遣ったことなど、彼らにはナンの関係もないのだ。恥ずかしい話だけれど、相手を傷つけまいとして気をつかったばっかりに、こっちのほうが傷ついている。
そんなわけで、
「考えておく」
と答えて、
「考えておいてくれましたか」
と迫られたときは、
「考えておいたよ」
と答えるのが、いちばんだ。
「それで?」
「考えた結果、やっぱり断ることにした」
ここで、少しでもためらいをみせてはならぬ。少しでもためらいをみせると、彼らは、テキメンにつけあがる。
ホント、不思議なもんである。
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