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男のためいき女の寝息38

时间: 2020-02-07    进入日语论坛
核心提示:レジュメ無用「レジュメ」という。要約、摘要、大意のことである。広義には、研究発表・講演などの概要をプリントしたものを指す
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レジュメ無用

「レジュメ」
という。要約、摘要、大意のことである。広義には、研究発表・講演などの概要をプリントしたものを指すらしい。
ときに講演を頼まれ、うっかり引き受けると、
「ぜひ、事前にレジュメを……」
と乞われたりして、ビックリすることがある。それも、
「できれば八百字程度にまとめてください」
ナンテ言われた日には、マイッてしまう。
だいたいが、チャランポランな性格なのである。講演の内容だって、その場になってみなければまとまらないことが多いし、ウナギ屋のオヤジじゃないけれど、客の顔をみてから、割《さ》くウナギを決めるようなところもある。
言っちゃナンだが、
「事前にレジュメを……」
と言われたって、書けるはずがない。それに、
「むずかしい研究発表なんかならイザ知らず、わたしのような人間の、それこそ雑談みたいな講演の概要をプリントしたところで、いったいどこがいいんだろう?」
といった気持ちもある。
さらに言うなら、わたし自身は、本来は短い文章を書いてお鳥目《ちようもく》をいただいている者である。かりに八百字なら、
「八百字でまとめるように」
と言われると、そのことに精魂を傾けてしまう。
それだけで通じる作品とするために、書いては削り、書きかけては破って、その結果、ようやく書き上げればクタクタで、
「あとは、どうにでもなれ」
という気分になっている。おおげさに言うなら、一戦おわった感じである。
要するに、
「言いたいことは、このレジュメで言ってしまった。そのうえに、なにをつけ加えることがあるだろう」
といった心理状態でもあろうか。そんなレジュメを手にして演壇に立ったところで、ロクなことを喋れるわけがない。
それにしても、他人さまに講演を頼んで、
「事前にレジュメを……」
と言うようになったのは、いつごろからのことだろう? なんだか、修学旅行で名所旧跡を訪ね、名所旧跡そのものには一瞥《いちべつ》もくれず、ただただ名所旧跡の由来をノートにしてきて、
「よかったなあ」
と言ってる中学生を眺めているようで、正直な話、おちつかぬ。
恥ずかしながら、講演も生業《なりわい》のうちである。生業のうちだが、
「事前にレジュメを……」
というのだけは、断っている。ナマイキなようだけれど、こいつばかりは譲れない。
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