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男のためいき女の寝息39

时间: 2020-02-07    进入日语论坛
核心提示:心残りこの夏は、北海道に三度も出かけた。札幌、旭川、札幌と、みんな公開座談会の司会や講演など、仕事がらみの短い旅だったが
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心残り

この夏は、北海道に三度も出かけた。札幌、旭川、札幌と、みんな公開座談会の司会や講演など、仕事がらみの短い旅だったが、それぞれ仕事の前後にいろんな人に会えたり、会えなかったりして、楽しかった。
とくに旭川では、優佳良織《ゆうからおり》の織元・木内綾さんが暖炉に風倒木をくべて迎えてくださったことが忘れられない。木内さんに言わせると、
「まだ暖房の季節でもないし、火力も弱いんですが、風倒木が�燃やしてくれ、燃やしてくれ�っていうので、ぜひ供養と思って……」
ということだった。
事実、北海道の雪害や風害にやられたシラカバなどの風倒木は、燃料以外には役に立たず、また燃料としてもそれほど優秀なものではないらしい。が、毎朝のように野の花を摘んで歩く木内さんにしてみれば、それらの木々が朽《く》ちたままになっているのを見るに忍びなくて、つい集めてきてしまうようだ。
「ま、火の色だけでも眺めてやってください。彼らも喜びますから」
旭川で一緒に仕事をした藤女子大学教授・後藤平吉氏に千歳空港で再会したのも、嬉しかった。札幌に住む後藤さんに、
「札幌はお好きですか?」
と訊かれ、頷くと、いきなり、
「札幌でいちばんまずいのは、ラーメンだ」
と言い出したから、驚いた。
後藤さんは、それこそニコヤカな顔で、
「札幌でおいしいのは、ビール、バター、アイスクリームのように西欧のものを消化しようとしたものですな。ラーメンみたいに内地におもねってるやつは、どうもいけない」
と、おっしゃる。それが、そのまま一つの文明論になっているところが、素敵である。
それにしても、
「いつも読んでます」
という手紙とともに、札幌の講演会場に花束を届けてくださった女性に会うこともなく帰ってきたのは、心残りだ。たぶん、若くて美しい人だったにちがいない。
係の人に、
「会いますか」
と言われて、
「会いません」
と、わたしは答えた。いまにして思えば、ちょっとカタクナだったかな——と、悔まれる。
それというのも、わたくし、以前に、やはり札幌で「ファンです」と称する女性に会って、そのひとがあまりに若く、美しいのにドギマギしたことがあるのだ。ホントに恥ずかしい話だが、あのとき、わたしは、ビールを飲み干すのもそこそこに逃げ出していた。
言っちゃナンだが、あのひとが、あんなに若く、美しくなかったら、このわたしも、なんとか話ができたように思う。それが、若く美しすぎたために、わたしは、ふいに落ちつきを失ってしまったのである。
それで、思い出した。何年か前、別の講演会場で、質問の時間に女のひとから、
「なにもお土産はありませんが、きょうは北海道の女心をお持ち帰りください」
と、大きな声で言われたことを。
もちろん、こんど花束を贈ってくれた人ではないだろうが、北海道の女性には、いつも度肝を抜かれている。
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